注文住宅を希望していた人が建売住宅を選んだ意外な理由(中編)

公開日:2022年3月22日 最終更新日:2024年3月14日
住居形態(注文・建売・売建・マンション)
前回までのあらすじ) 一級建築士A氏のもとに、親族の30代共働きのご夫婦から注文住宅の相談がありました。 ご夫婦には、貯金額があり、マイホームに対するたくさんの要望もあり、注文住宅でいこうと理想の家づくりをスタートさせたのでした。

要望をすり合わせることのむずかしさに直面

後日、ご夫婦の要望にA氏の提案を含め図面を作成。それを見たご夫婦はとても喜んだのですが、細かな部分で食い違いがでてきます。

「勝手口はほしいけど、敷地の奥に入ってやっと入り口というのは不便で避けたい。重い食料品や雑貨を持って、奥まで行くのはイヤだ」と言う奥さま。
これに対し旦那さまは、「勝手口の性質上、正面から見えるところにあるのおかしい。荷物が重いときは玄関を利用すればいい」と言ったのですが、「それこそ勝手口の意味がない」と奥さまが納得できません。

また、「窓は大きくしたいと言ったけれど、よく考えてみたらタンスや机が置けない。窓が大きな部屋は使いにくいのではないか」と言う奥さま。
それに対して旦那さまは、「でも換気や明るさを考えれば、窓は大きいことに越したことはない」。すると奥さまは、「そのために机が置けなくなるのでは意味がないでしょう?」

A氏は要望がかみ合わない度に、「これは仮の図面だから・・・」と取りなしつつ、「理想を求めたい旦那と、現実主義の嫁。これはまとめるのが大変だ」と感じたそうです。

要望にあった土地が見つかったが・・・

そうこうしているうちに、理想に沿った土地が出てきます。正方形ではないものの、南と西側に開けた角地。駅からも離れておらず、土地が広いため車を3台停めても、さらに自転車をゆったりと置けそうです。

土地自体は傾斜地にありますが、玄関は階段を上り下りしなくても入ることができ、要望通り。条件としては非常によく、土地の購入を早く決めなければ他の人、または他の会社に買われてしまう可能性があることを伝えます。

すると、
「その土地を買って家を建てたとして、今までに伝えた要望をすべて叶えると、いくらになるかもう一度計算してほしい」
と言われます。

A氏は内心、「いろいろな部分が決まってないのに・・・」と思いつつ、概算を計算し直して伝えたそうです。

すると、「当初の計画より、結構高くなったね」と返事が返ってきます。そして、数日時間が欲しいと伝えられたのです。

はじめて見に行った建売住宅を見て衝撃を受ける

さて、この数日後に、ご夫婦にはもうひとつの予定がありました。それは、住宅展示場を見に行くこと。あまりにも夫婦間でもめるので、「図面だけを見て、あれこれ言っていてもしょうがない」と、A氏が知り合いのハウスメーカーを紹介したものでした。

営業担当者が室内を見せ、細かい説明をしていくうち、「この家は弊社が建売住宅として販売しているもののひとつです」との話が出ました。

ご夫婦はここで初めて建売を見たのです。間取りは4 LDKで、和室は一部屋のみと理想通り。その家は自分たちの要望が100%入っているとは言えないものの、ほぼ叶っているため、いくつかの妥協をすればよい程度。例えば、階段に手すりはないのですが、これは後から付けることも可能。ウッドデッキもあとから取り付けられるものです。

何より、内装の雰囲気は奥さまが望んでいた雰囲気にピッタリだったそう。

それまでは、「自分たちが住みたい一戸建てを手に入れるには、注文住宅しかない」と考えていた2人には衝撃的だったと言います。
「建売住宅って既製品のようなイメージだと思ってたけど、まったく違うんだ」と感じたとのこと。

そして極めつけに、価格を聞いてさらに驚きます。なんと、A氏に聞いた額の約半分の金額だったのです。もちろん最寄り駅が違うことや、土地の広さや建坪が違うことも影響しているのですが、それにしても半額とはすごい差です。

最後に

ご夫婦は、「家に帰って、よく相談しよう」と話し、住宅展示場を後にします。

理想の家づくりの結末は下記記事をご覧ください。
注文住宅を希望していた人が建売住宅を選んだ意外な理由(後編)

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