「ウッドショック」とは? 一戸建て建築との関係性と今できる対策
最近ニュースで取り上げられることが多くなった「ウッドショック」というキーワード。
関係ないと思っていたという方も多いかもしれませんが、実は住宅建築にも大きく関わる大問題なのです。
今回はウッドショックとはどのようなもので、これからマイホーム、特に一戸建てを買おうと思っている方にどのような影響があるか、それに対応するにはどうすればいいかをご紹介していきます。
関係ないと思っていたという方も多いかもしれませんが、実は住宅建築にも大きく関わる大問題なのです。
今回はウッドショックとはどのようなもので、これからマイホーム、特に一戸建てを買おうと思っている方にどのような影響があるか、それに対応するにはどうすればいいかをご紹介していきます。
目 次
ウッドショックとは?
ウッドショックとは、木材の価格が急騰していることを指します。1970年代に原油価格が高騰して世界中がパニックになった「オイルショック」になぞらえて、ウッドショックと呼ばれています。つまり、ウッドショックは世界的なものなのです。では、どれくらい値上がりしたのでしょうか?
世界の木材価格を知る指標として「木材先物価格」があります。これが2020年4月頃から徐々に上昇していき、2021年4月には、なんと5倍になったのです!
たった1年で5倍です!
すごい上昇ぶりですよね。
もちろん、先物価格が上がったからと言って末端価格が同じように5倍になるということはありません。木材が流通する中でいろいろなところで価格上昇分が吸収され、値上げは縮小され、時期も先延ばしになります。
それでも、農林水産省の統計では、住宅の梁などに使われる輸入材のベイマツ(米松)の全国平均価格が5月は前年同月比29%高。これにより代替需要が高まっている国産材も、柱に使われるスギ正角が同29%高となったと発表しています。
ウッドショックの3つの原因
では、なぜウッドショックが起こったのでしょうか?原因は3つだと言われています。
コンテナの不足
コンテナ不足って、コンテナは木製ではないはず?と思いますよね。たしかに、コンテナは金属製です。しかしここには、複雑な問題が関わっています。新型コロナウイルスの影響で世界中の物流が滞り、貨物船も減便となりました。この頃から輸出入業者の中では、「コンテナがどこかに留まっていて足りない」という声が上がりはじめます。その後、欧米各国を中心に新型コロナウイルスの影響が薄れ、景気は拡大しはじめます。そして、輸出入も盛んになります。
ところが、まだまだ新型コロナウイルスに悩まされている国もあるので、木材を積んだコンテナが入ってきても一定期間隔離させられたり、港で働く人が減ってしまったりして作業が滞ります。その結果、コンテナがさらに流通しなくなったわけです。
木材もコンテナに入れて運ばなければならないので、大きな影響を受けます。聞くところによると、アメリカの港には山積みになったコンテナがあるそうで、それが流通するようになれば事態は解決するのかもしれませんが、それはいつのことやら。そう近くないことはたしかです。
アメリカの財政支出資金
これも日本にはあまり関係ないような気もしますが、実は大ありです。新型コロナウイルスの景気対策として、アメリカ政府は約200兆円の財政支出をしました。この規模の対策をすればお金はあまり、さまざまな市場に流れていきます。その流れ先のひとつが木材市場。木材を扱う事業者を潤わせたことで、木材の需要が上がり、結果的に材料の品薄状態が続くわけです。
ちなみに、プラスチック樹脂なども同じように原料価格が上がっているそうです。
住宅購入やリフォームの増加
新型コロナウイルスの影響で日本もリモートワークが広がりました。これは世界中で起こっていて、世界中の多くの人が家にいる時間が長くなったのです。また旅行にでかけることができない状態が続き、サラリーマンなど、あまり収入に影響がでなかった人が、「家を新しく買おう」とか、「家をリフォームしよう」と発想したわけです。木造建築が多いのは日本だけではありません。特にアメリカは木造の家がたくさんあります。その結果、住宅用の木材が足りなくなるということが起きたわけです。
日本は林業が盛んだから、なんとかなるのでは?
木材の話をするとよく聞かれるのは、「日本は昔から木材建築が一般的で、世界の価格が上がっても関係ないのでは?」という声です。たしかに、国産の木材がないわけではありません。しかし、日本で使われる木材の約6割、つまり半分以上は輸入に頼っている状態です。住宅建材に限定しても、およそ半分は輸入品を使っています。つまり世界の木材価格の問題は、日本の住宅問題に直結しているというわけです。
日本の木を有効活用できないの?
それでも日本にはたくさん木がありそうで、それを使えば解決するような気もしますよね。しかし、輸入木材の価格が高騰したから、国産に切り替えようとはいかない理由もあります。
たしかに木は、日本に多く生えています。しかし、住宅建築に使える木は自然に生えているものではなく、住宅建築に使える木材として育てたもののみ。これは農業と同じと考えると分かりやすいかもしれません。八百屋やスーパーに並ぶ野菜は、商品として売られるために作られたもの。山の中に自然に生えていて、それを取ってきて売られている商品は実に少ないです。
木材で言えば、それなりの大きさに、まっすぐ育ったものが使われます。それを育てるには長い期間が必要です。まずは苗木を栽培し、山に埋められるようになるまで約4年かかると言われています。その上で 土壌にあった苗木を植え、年に数度、周りの雑草を刈ったり、木に絡みつくつるを切ったりという作業を繰り返します。
5~8年育ったら、大きく育つ見込みのない木を切ってしまい、元気な木が育つ環境を作ります。そして、植えてから15~20年経つと、木の間が混み合ってきて十分に太陽の光が届かなくなるので、「間伐」という作業をし、全体の本数を減らします。こうすることで一本一本が、しっかりと太く成長できるわけです。その後も間伐を繰り返し、「主伐」と呼ばれる木材としての収穫ができるのは約40年後となります。
しかもこのタイミングですべての木を切ってしまうと山が裸になり、台風などが来た時に水害や土砂災害が起こるので、切った部分に新しい苗木を植え、山全体を育てていきます。
つまり、輸入木材が手に入らなくなったからと言って、すぐに国産材を手に入れようとはいかないのです(実際には20年ほど前から国産材に着目していた経緯もあり、40年はかかりませんが)。
ウッドショックが一軒家の建築に与える影響
このような影響を受け、大手住宅メーカーは値上げをはじめています。原材料費として上がるのは一軒あたり100万円以上になることもあるのですが、価格転嫁されるのは、今のところ数十万円程度。上げ幅としては1%程度に収まっています。とはいえ、ベース価格が高いので1%と言ってもそれなりの価格です。3,500万円の家であれば35万円です。また、日本で木造建築の一軒家を建てる場合、必要な部品を含めると数千種類が必要となります。大工は木材(板)を仕入れ、さまざまな形に加工しているというイメージを持っているかもしれません。もちろんそういった部分もあります。ですが、山に生えた木をそのまま持ってくることはありませんし、部品によっては業者が加工して部品にしています。
つまり、家を建てるには、森で木を育てる人やそれを各部品に加工する業者、その流通を助ける人などがいて大工の元に届き、そこから家を建てるというわけです。
しかし、木材の価格が高騰することで、各部品を作る製造業にも影響が出て、廃業する人が出てきています。こうなると住宅供給のスピードが落ちることになります。こうなると深刻ですよね。
お金を払っても材料を買えない事態が起こる可能性も
さらにこの先、高額のお金を払っても必要な材料を入手できなくなるかもしれません。たとえば、住宅建材に向いているベイマツ(米松)と呼ばれる素材は、日本に入ってくる量が激減しています。年内いっぱいは品薄状態なのは確実で、来年になってもどうなるか分からないと言う業者もあるほど先行きは不透明です。これが一軒家の建築にどのような影響を与えるかと言えば、まずは価格の高騰が考えられます。原料の価格をそのまま販売額に転嫁する可能性もあります。しかも、原材料費が上がれば建築費を上げるけれども、それはいくらになるかは分からないと言う困った状況になります。こうなると注文住宅は怖くて頼めないですよね。
また、これからプラン立てをする建売住宅も値段が上がっていくことが考えられます。
新型コロナウイルスの影響ではじまったウッドショックですが、もはやコロナがどうこうではなくなっているので、今後、すぐに回復するというものではなさそうです。現在、木材先物価格はピークを過ぎていますが、これから先も下がっていく保証はありません。現在程度の高値を継続するか、もしくは再び上昇する可能性も否めません。
これから一軒家を買いたい人はどうすればよいか?
では、この先、一軒家を購入するのはあきらめるしかないのか?と言うと、決してそのようなことはありません。そのひとつが、ウッドショックの影響が住宅価格に大きく影響する前に、住宅を買うという方法です。すでに完成している建売住宅は、これからどんなに原材料費が上がっても、価格に跳ね返ることはありません。また、すでに図面に起こされ、材料の調達が終わっている建売住宅も、これまでの価格のままで建てられます。
もちろん価格は建てるハウスメーカーによって違いがあります。今後も今の予算で買える家がなくなると言うわけではありません。しかし、その分、予算内で購入できる住宅のクオリティは下がるかもしれません。この先にマイホームを持ちたいという計画があるのならば、今すぐに動き出すのが賢い選択だと言えるでしょう。
シアーズエステートは、グループ全体で引渡しを終えた住宅が6000戸以上(注文住宅約5600戸、建売住宅約400戸)。注文住宅のクオリティを建売住宅で実現し、多くのお客さまの支持をいただいています。しかも売主でもあるので仲介手数料などはかかりませんし、ローンのサポートなども万全です。
新築一戸建てをお探しなら、シアーズエステートをぜひご活用ください。
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