一生賃貸派にこそ読んでほしい。「途中で住まなくなる」という選択肢もある!
一生賃貸派の言い分
その前に、一生賃貸に住もうと考えている方のメリットを見ていきましょう。
一生賃貸派の方
• 家族の人数や用途に合わせて家の広さを決められる
• 家族の都合に合わせて立地を選べる
• 経済的に無理のない生活をしたい
• リフォーム費用の負担がない
代表的なものは、このような感じでしょうか。どれも納得性があります。しかしここには、重要な何かが抜けています。
それは、マイホームを購入したら、「一生そこに住む」ということを前提にしている点。これは一生賃貸派の方に強い傾向かもしれません。「途中で住まなくなる」という選択肢は、まったく考慮されていないのです。
「だって、家を手放すと三足三文になって損するでしょ」と決まっておっしゃるのですが、決してそんなことはありません。また、必ずしも売却という選択肢を選ぶ必要もありません。ここが「マイホームが資産である」ということの最大のメリットです。
「家を売却するときに苦労する」は本当か?
次に、一生賃貸派の方がよく言う、「家を売却しなければならなくなったとき、二束三文になって手放すのに苦労する」との考え方。これについて考えてみましょう。
まず、実際にどれくらいで取引されているのかを見てみましょう。
ご自身で調べたい方は、インタ―ネットで住宅情報サイトにアクセスすれば調べられます。ここでは、福岡市内の物件を例示します。
■福岡県福岡市南区
西鉄天神大牟田線「高宮駅」徒歩27分の4LDKの中古物件
土地面積は201.85㎡、築15年のオール電化
市場価格は3,680万円
■福岡県福岡市南区
西鉄天神大牟田線「井尻駅」徒歩6分の4LDKの中古物件
土地面積は140.63㎡、築11年
市場価格は2,900万円
■福岡県福岡市東区美和台
JR香椎線「和白駅」徒歩20分(西鉄貝塚線「三苫駅」徒歩12分)の4LDKの中古物件
土地142.89㎡、築46年
市場価格は2,150万円
意外と高値で取引されていることがお分かりいただけると思います。特に3番目の家は築46年です!
もちろん、全ての家が同じとは言えませんが、決して二束三文ではありませんよね。
新しい家は高い耐震基準を採用。倒壊しにくい前提で取引される
「古い家は二束三文にしかならない」という考え方は、「古い家は壊れやすい」との考えによるものです。日本は地震が多く、倒壊の危険も高いと考えるのは当然かもしれません。
ここに関わっているのが、建築基準法の中にある耐震基準。建築基準法自体は1950年に制定されましたが、その後、耐震基準については、1971年、1981年、2000年に大きな改正が行われています。
1981年の改正以降は、「新耐震」と言われますが、これは1978年の宮城県沖地震を受けたもの。この後、1995年に阪神淡路大震災が起こり、多くの住居やマンション、ビルが倒壊または半壊しました。ですが、新耐震の基準を満たした建物の損害は非常に少なかったと言われています。
その後、2000年に改正が行われて、耐震性はより強化。乱暴な言い方かもしれませんが、新しい家は、よほどの地震でも倒壊しない構造になっています。
この前提を持って、中古市場では、「中古物件を買うなら、新耐震の家を買え」と言われています。今、新築住宅を購入するのであれば、当然、新耐震。これも値崩れしにくい理由のひとつです。
売却しにくい家とは?
それでも中古物件は売却しにくいイメージがあるという方もいらっしゃると思います。特にニュースなどで取り上げられるものは、悲惨さをクローズアップしたものが多いので、致し方ないのかもしれません。
しかし、価格が見合わなくて苦労するのは、いくつかのパターンに集約されます。
代表的なのは、田舎にある実家を売るケースです。
人口減少が顕著なのは田舎で、過疎化が問題となっているところも多くあります。そのような地域では、買い物や通院の不安から、新たに住みたいという方が少なくなっています。
これに加え、古い家は旧耐震基準しか満たしていない・・・・・・となると、ますます不安が大きく、売却しにくくなるのは当然ですね。
実際こういった家を手放すのに、「家を壊して更地にしなければ売れない」とか、「家を取り壊す費用の方が高くついた」などという方が多くいます。ただし、新しい家となれば話が変わってくるのは、前述の例を見てもお分かりいただけると思います。